「茶道」とは伝統的な様式に則って客人に茶を振舞う行為で、単に抹茶を飲んで楽しむだけではなく、他に様々な日本文化が加わって発展してきました。つまり、これは茶室や庭など住まいに関する空間、茶道具を選んだり鑑賞したりする工芸、そしてお茶会に出てくる会席料理や和菓子などの食、客人を気持ちよくもてなすための点前作法などが融合した、いわば“総合芸術”です。さらに、茶道は禅宗と深く関わり「侘び・寂び」という精神文化を生み出しました。これは「わびしい」「さびしい」という満たされない状態を認め、慎み深く行動することを意味します。
茶道においては、この「侘び・寂び」の精神を大切にし、茶室という静かな空間で茶を点てることに集中することで心を落ち着かせ、それによって自分自身を見直し、精神を高めるというものです。また、茶道では「一期一会」という言葉があり、これには“人との出会いを一生に一度のものと考え、相手に対して最善を尽くす”という意味があります。茶道では、このような精神に則って、お茶を点てることを大切にしているのです。